事務所ニュース [2018年12月号]

「働き方改革法」が成立

-残業時間の規制、非正規雇用労働者の待遇差の是正など-

はじめに

政府が「働き方改革関連法」と呼ぶ法律が2018年6月に成立し、労働基準法、パートタイム労働法(名称はパートタイム・有期雇用労働法に変わります)、労働者派遣法など、計8つの法律が改正されました。

改正点は多数ありますが、大きな柱は3つです。

  1. 長時間労働に歯止めをかける「残業時間の上限規制」
  2. 「いわゆる非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)の不合理な待遇格差の禁止と同一労働同一賃金」
  3. 労働時間の規制がない「高度プロフェッショナル制度の創設」

です。①と②は労働者側にメリットがある改正で、③は使用者側にメリットがある改正です。

ポイント1 「残業時間の上限」が定められました

これまで法律上は残業時間(時間外労働)の上限がありませんでした。長時間労働を是正するため、法律で残業時間の上限が定められました。労働基準法の大きな改正といえます。上限を超えた場合は、使用者側に6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられます。

上限は、「月45時間、かつ、年360時間(休日労働を含まない)」が原則です(月45時間は1日当たり2時間程度の残業に相当します)。ただ、臨時的な特別の事情があって労使が合意するときは、月100時間未満(休日労働を含む)、複数月にわたるときは平均80時間以内(休日労働を含む)、年720時間以内まで認められます。

時間外労働の上限規制は、大企業では来年2019年4月1日から、中小企業では、再来年2020年4月1日から適用になります。

ポイント2 「非正規雇用労働者の不合理な待遇の禁止」と「同一労働同一賃金」

非正規雇用労働者の待遇格差をなくすため、第1に、通常の労働者の待遇と比べて不合理な待遇差が禁止されます。どのような待遇差が不合理にあたるかを具体的に示す「ガイドライン(指針)」の案ができていますが、今後確定される予定です。

第2に、仕事の内容や責任が同じで、配置の変更の範囲などが同じ場合は、同じ水準の賃金を支払うことが求められます。わが国には、これまで「同一労働同一賃金」の原則を定めた法律はありませんでしたが、初めてその規定が定められました。

不合理な待遇差をなくすためのこれらの規定は、大企業では再来年2020年4月1日から、中小企業では2021年4月1日から適用になります。

ポイント3 「高度プロフェッショナル制度の新設」

これは、高い収入の一部専門職について労働時間の規制を外す制度です。この制度では残業や休日出勤をしても割増賃金が支払われません。対象としては、年収1075万円以上の証券アナリストや医薬品開発の研究者、経営コンサルタントなどが想定されていますが、具体的には省令で定められます。経済界が提案し、野党や連合は過労死を助長すると反対しましたが、政府は押し切り、与党の賛成で可決しました。

長時間労働を強いられることがないよう、制度を導入するときは企業内の労使委員会での決議や本人の書面による同意が必要とされています。また、一度適用されても本人の意思で離脱することも可能です。労働者の健康を確保するため、年間104日以上、4週間で4日以上の休日確保が義務づけられます。

弁護士 松森 彬


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