定年再雇用後の賃金減額に「合理性」ー会社側が逆転勝訴
定年後に再雇用されたトラック運転手の男性3人が、定年前と同じ仕事であるのに賃金が下げられたのは違法だとして定年前と同じ賃金を支払うよう勤務先の運送会社「長沢運輸」に求めていた訴訟の控訴審判決が11月2日に東京高裁でありました(地裁判決は「新しい法律のご案内」の2016年6月号でご紹介しました)。
高裁は、「定年後に賃金が引き下げられるのは社会的に受け入れられており、一定の合理性がある」と判断して、運転手側の訴えを認めた東京地裁の判決を取り消し、請求を棄却しました。
非正規雇用労働者の賃金格差を是正する必要がありますが、今の法律(労働契約法)は合理的理由がない処遇の格差を禁止しているだけで、同一労働同一賃金の考え方はまだ法律にはなっていません。合理的理由がある差は許されますので、定年後の給与が2割強の減額になったことに合理性があるかどうかが争われ、高裁は一定の合理性があると判断しました。運転手側は上告しましたので、最高裁の判断が待たれます。