西天満総合法律事務所NISITENMA SŌGŌ LAW OFFICE

  1. ホーム
  2. 事務所だより
  3. 育児・介護休業法が改正されました

育児・介護休業法が改正されました

1 育児・介護休業法の改正

近年、男性の育児休業取得率は上昇傾向にあるものの、令和2年度の男性の育児休業取得率は約13パーセント、取得期間も2週間未満が約8割と、女性に比べて非常に低い水準となっています(厚生労働省「雇用均等基本調査」)。

また、育児休業制度の利用を希望していたけれども利用しなかった男性の割合は約37パーセントであり、利用しなかった理由については、収入を減らしたくなかったという理由に次いで、育児休業制度を利用しづらい職場の雰囲気だったという理由が多くなっています(厚生労働省委託事業「令和2年度 仕事と育児等の両立に関する実態把握のための調査研究事業報告書」)。

このように、多くの男性が思うように育児休業を取得できていないのが現状で、最新の調査でも、約5割の女性が、仕事と育児の両立が難しい等の理由で、妊娠・出産を機に退職していることが分かっています(国立社会保障・人口問題研究所「第15回出生動向基本調査(夫婦調査)」2016年)。

そこで、育児休業を取得しやすい環境を整備し、男女ともに仕事と育児を両立できる社会を目指して、育児・介護休業法の改正が行われました。改正法は、3段階に分けて施行されます。

2 改正のポイント

⑴ 第1段階(令和4年4月1日施行)

ア.育児休業制度の周知・意向確認、環境整備

事業主は、本人または配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対して、育児休業制度等に関する事項を周知させ、育児休業取得の意向確認を個別に行わなければなりません。

また、育児休業の申し出が円滑に行われるよう、事業主は、育児休業に関する研修を実施したり、相談窓口を設置する等の措置を講じなければなりません。

イ.取得要件の緩和

改正前は、育児休業の取得要件として、①引き続き雇用された期間が1年以上であること、②1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでないことの2つの要件が求められていましたが、改正によって、①の要件が撤廃され、②の要件を満たせば、育児休業を取得することができるようになりました。

⑵ 第2段階(令和4年10月1日施行)

従来の育児休業制度では、原則として、育児休業を分割して取得することはできませんでしたが、改正後は、2回に分割して取得することが可能になりました。

また、今回の改正で、育児休業制度とは別に、『産後パパ育休』制度が新設されました。『産後パパ育休』は、子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能で、2回に分割して取得することができます。

これらの改正によって、母親の体調や仕事復帰のタイミング等に合わせて、柔軟に育児休業を取得することができるようになりました。

なお、『産後パパ育休』を取得した場合にも、原則として休業開始時の賃金の67パーセントの育児休業給付を受けることができます。

⑶ 第3段階(令和5年4月1日施行)

常時雇用する労働者が1000人を超える事業主には、育児休業等の取得の状況を年1回公表することが義務付けられます。

3 中小企業の支援

職業生活と家庭生活の両立支援や女性の活躍推進に取り組む事業主を支援する制度に、「両立支援等助成金」があります。育児・介護休業法の改正に伴い、男性労働者の育児休業取得率が上昇した場合の助成金制度が新設される等、両立支援等助成金の制度にも変更がありました。

また、ハローワークでは、育児休業中の代替要員を確保したい企業を支援するため、求職者への応募の働きかけ等を行っています。

以上