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日弁連は民事司法の改革を決議

日弁連(日本弁護士連合会)の定期総会が、5月27日に東京で開かれました。今年は、私が提案者の一人になっている民事司法改革の決議がされましたので、出席して意見を述べてきました。

日弁連の総会では、予算などを決めるほか、毎年、重要テーマについて決議や宣言をします。今年は、「民事司法改革に関する決議」と、「取り調べの可視化など刑事裁判に関する決議」と、「東日本大震災の救済、復興などに関する宣言」の3つを決議しました。

「民事司法の改革」に関する決議では、裁判官の増員などの基盤整備と、裁判手続きの充実改善と、裁判費用についての制度(法律扶助制度など)の拡充などに取り組むことを決めました。

民事裁判を経験された人や会社に対する大規模調査が、2000年と2006年に行われています。依頼した弁護士に対する評価は、おおむね高いのですが、裁判制度全体に対する満足度は決して高いと言えません。利用しやすいという回答は2割強しかありません。

この度の司法改革で、刑事裁判では裁判員制度ができ、被疑者段階から弁護人が付く制度ができました。また、弁護士の増員も進み、この十数年で弁護士は約2倍になりました。しかし、民事裁判の分野では大きな改革はされませんでした。そのため、上記のように満足度は低く、利用件数も諸外国などに比べ、少ない状態が続いています。利用しやすい司法は実現していないと言えます。

私は、総会では、民事司法改革が進められるべきであること、その際、次の3点が大事であると思うと意見を述べました。一つは、「裁判を経験した人など司法の利用者である国民の意見や不満を踏まえて改革をすること」、二つは、「先の司法改革で民事司法の分野の改革が取り残された原因を踏まえて、二の舞にならないようにすること」、三つは、「骨太の改革を目指すこと」です。

討議の結果、ほぼ全員の賛成で、弁護士会は、民事司法改革に取り組むことが決議されました。裁判はふだん関係がないと思いますが、裁判でないと権利の実現ができないこともあります。今後、ご一緒に司法のあり方について考えていただけると幸いです。 (弁護士松森 彬)