裁判員制度が始まって5月21日でちょうど3年になります。今日の新聞(毎日新聞)は、裁判員経験者に対するアンケートを行って467人から得た回答を紹介していました。
「裁判に国民感覚が反映されたか」との質問に経験者の89%が肯定的な回答をしています。また、「裁判員を務めてよかったか」の問いに対しても、96%が「よかった」という答えです。「裁判員制度を続けるべきだ」とした人は81%に達し、「わからない」は14%で、「やめるべきだ」は3%しかなかったようです。
そして、「裁判員を務めた後、事件や裁判への関心が高まったか」との問いには、「大いに高まった」が55%、「ある程度高まった」が40%と9割以上にもなっています。私は、10年前にアメリカの陪審制度の視察に行き、陪審制は「民主主義の学校」だという意見を聞いてきましたが、国民の司法への参加がおおむね目的を達していると感じます。
また新聞には、裁判官10人の感想も紹介されていました。裁判官が今まで以上にやりがいを感じていることがわかります。「さまざまな人生経験をした人の意見を聞くことで多面的な検討につながっている」という声があり、「いろいろな人と議論をするなかで一体感が出てこれまでなかった楽しさを感じる」という感想もあります。私は、今、弁護士から裁判官を選考する委員会の委員長をしていますが、市民10人と弁護士10人で議論をしていますと、同様の充実感があります。
事務所の仲間である高江弁護士が昨年、裁判員制度の弁護人を務めましたが、やはりやりがいがあったと言っていました。国民の司法参加の制度ができるときは、いろいろな心配が聞かれましたが、制度はおおむね順調に育っているように思います。(弁護士松森 彬)