今の民事裁判の実情と問題点を明らかにするため、大阪弁護士会では、大阪の弁護士全員を対象にしたアンケート調査を行うことになり、先日、用紙を全会員に配布しました。
裁判を経験された当事者を対象にした調査が、既に学者によって2度行われており、「満足」という回答は、「やや満足」という意見を含めても、約2割しかないことが明らかになっています。弁護士に対する調査はありませんでしたので、私は、このような調査を提案してきました。回答率を心配する声もありましたが、実施する意義を訴えて実現しました。
私が、この調査を行う民事裁判調査検討プロジェクトチームの座長を仰せつかり、15人の委員と作業を始めています。この委員には若い弁護士の方も多く、楽しく作業をしています。既に回答が集まりつつあり、興味ある結果が出そうです。結果の公表は秋になると思いますが、また、このブログでもご報告したいと思います。
このアンケートでは、「充実した審理が行われているか」、「裁判の期間は長すぎないか」、「証人調べは十分にされているか」、「裁判官の数は足りているか」、「弁護士は十分な書面を書いているか」、「裁判費用の問題はどうか」などを尋ねています。また、誤判など具体的な事例もあれば回答を求めています。
わが国では、この度の司法制度改革で、刑事裁判の分野では裁判員制度が導入され、捜査段階から弁護人が付くなどの大きな改革がされました。しかし、民事裁判の分野では大きな改革はされませんでした。今の民事裁判の実情と問題点を明らかにして、訴訟法の改正や裁判官の増員、また裁判費用問題の改善など、民事裁判を良くする活動につなげたいと思っています。(弁護士松森 彬)