西天満総合法律事務所NISITENMA SŌGŌ LAW OFFICE

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「法定審理期間訴訟手続 Q&A」のリーフレット

近畿弁護士会連合会(司法問題対策委員会)は、2024年3月に「法定審理期間訴訟手続 Q&A」というリーフレットを発行しました。「どのような手続か」、「どんな裁判になるか」、「どのような理由で提案されたか」、「どのように判断したらよいか」など、10問のQ&Aでわかりやすく説明されています。

法定審理期間訴訟手続は、最高裁が提案して、2022年5月の民事訴訟法改正で設けられた手続で、2026年5月までに施行される時期が決まります。

法定審理期間訴訟手続は、審理期間が原則として6か月に限定されます。主張や立証が期間内に制限されますから、裁判としては極めて大きなリスクがあります。企業間で、たとえば契約書の条項の解釈に争いがあり、事前に十分な交渉があって、双方の主張と証拠がすべて明らかである場合などを想定して提案されました。しかし、そのような場合はめったになく、大半の事件には向いていないといえます。

リーフレットは、近畿弁護士会連合会のホームページの「お知らせ欄」の「2024年3月29日の記事」として掲載されていますので、市民の方もネットで見ていただくことができます。
リーフレットのURLは下記のとおりです。
 https://www.kinbenren.jp/topic/2024/leaflet_20240228.pdf

法務省の立法担当者による「一問一答 新しい民事訴訟制度」の本も3月に出版されました。ただ、この本には、外国の訴訟制度にはない手続であることや、各地弁護士会、消費者団体、マスコミ等が反対したほか、国会でも野党はこの訴訟手続の新設に反対したことなどの説明はありません。


近畿弁護士会連合会が、この手続の内容とリスクをわかりやすく説明したリーフレットを発行された意義は大きいと思います。(弁護士 松森 彬)