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名古屋に赤レンガの旧裁判所が残っています

週末に名古屋へ行ってきました。私は、名古屋で司法修習をしたのですが、そのときの同期生が集まり、歓談しました。久し振りでしたので、下宿していた街や当時通った旧裁判所の界隈を歩いてきました。

名古屋の裁判所は、今は別のところに新しい建物が建っていますが、大正時代に建った赤レンガの旧建物が国の重要文化財として保存されています。「名古屋市政資料館」といいますが、司法関係の資料展示も多く、私は、司法の記念館として値打ちがあると思いました。戦前あった陪審法廷が再現されていたり、法服を着た裁判官や検事、弁護人の人形があったり、小学生向けの裁判の説明書も置かれていたりしました。修習時代に当時の内藤頼博長官との昼食会があった会議室も残っていて、懐かしい思いがしました。

「司法制度の理念」がパネルに書かれていました。「司法とは具体的な争いについて、法を適用し、判定することによって、これを解決する国家の作用をいい、これにより国民の権利を守ることなどが目的とされています。」と書かれています。当たり前とも言える説明なのですが、読んでいまして、裁判の実務では、ややもすると、この理念が忘れられていないかと思いました。

大阪の中之島にある裁判所もかつては赤レンガで、名古屋の裁判所よりもさらに横に長い立派な建物でしたが、私が修習生のときに取り壊され、同じところに新築されました。戦前8つあった控訴院(今の高裁)のうち、名古屋と札幌の控訴院が残っていて、札幌控訴院は現在は札幌市の資料館として保存されているそうです。

旧の裁判所から歩いてすぐのところに、大正時代に建った和洋の名建築がいくつも残っている一画があります。旧豊田佐助邸、旧川上貞奴邸、旧井元邸などです。奇跡的に戦災の消失を免れたそうです。かつて名古屋は観光する名所が少ないと言われていました。そんなこともあったのか、2005年の名古屋万博のときに「文化のみち」という名前で、街並み保存として整備されたと聞きました。名古屋にこのような古い建物が残っていたことは驚きでした。どれも立派な邸宅で、一見の価値があると思います。(弁護士 松森彬)