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弁護士の預かり金とフランスの「カルパ制度」

昨日、大阪弁護士会館で、フランスの弁護士会が行っている「カルパ制度」(弁護士会の決済金庫)を検討するシンポジウム(春秋会主催)があり、参加しました。

カルパというのは、フランスの制度で、弁護士がお金を預かる口座を弁護士会に設置し、弁護士がお金を預かる場合はその口座を経由させる制度です。フランスでは、1957年に任意の制度として始まり、1986年に法律により義務化されたそうです。制度を設けた目的は、弁護士のお金による不祥事を防止することと、口座の運用益を弁護士会の活動資金にすることと言われています(椛嶋裕之・谷眞人「カルパ制度とわが国への導入可能性(上・下)」自由と正義1998年11月号、12月号)。

日本でも、実際にはごく一部の弁護士なのですが、依頼者のお金を横領した事件がときどき新聞に出たりします。日弁連は、今、そのような被害者に見舞金を支払う制度を検討しています。しかし、それは不祥事が起こったあとの救済であり、見舞金ですから限度もあります。防止に役立つ制度があればということで、大阪、福岡、日弁連などで日本版カルパ制度の導入を検討しようという動きが出てきました。

弁護士は国民の権利を守るという仕事の性格から業務の独立と守秘義務があり、弁護士会は個々の弁護士の業務を監督することはできません。このような弁護士の業務の独立性を維持しつつ、不祥事を防止する手段として、カルパは一つの有効な制度ではないかと思いました。コストと手間などの問題がありますが、検討が望まれると思いました。(弁護士 松森 彬)