昨日、社会学者の上野千鶴子教授が大阪弁護士会で「ジェンダー概念と法」という講演をされました。弁護士会の男女共同参画推進本部がお呼びしたものです。
女性学、ジェンダー学で有名な東大の先生ですが、お話しをお聞きするのは初めてでした。男女が決定的に違うのは、性染色体が違うくらいで、後の違いは連続的だというお話しでした。そして、いわゆる男女の差は、大半が社会が作っているものだということで、改めてそうだと思いました。
近代の法学は、個人主義、自己決定、自己責任をいうが、それは対等、平等の場合に当てはまるのであり、男女は、まだまだ対等とは言えないというのも、大事な指摘だと思います。
セクハラは違法であることが裁判でも認められ、また、DV法ができて、ずいぶん社会が変わったという指摘もされていました。10年単位で見れば、裁判があり、法律ができることで、女性の権利状況はかなり改善されたということでしょうか。それでも、家事労働も含めた総労働時間は男より長く、睡眠時間は短いという指摘は、現在の女性の置かれている状況を端的に指摘されたように思いました。
弁護士会のアンケート調査によれば、女性弁護士の収入は男性弁護士より少ないようです。会場から、扶助事件の報酬が低い話しが出ました。DV問題がある離婚事件でも報酬の加算はありません。扶助報酬の単価の引き上げ、報酬体系の改定が必要であることを改めて感じました。