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2018年正月の新聞を読んで

新年おめでとうございます。

いくつかの新聞の社説を読んでみました。論説委員の皆さんは今年の課題をどう見ておられるか。

今年の社説は、「民主主義」を取り上げる記事が多数見られました。それだけ、危機感があるからでしょうか。そして、財政や社会保障、環境問題など中長期的政策の議論ができていないという指摘も多数ありました。

朝日新聞は、安倍政権が5年になるが、政権維持が自己目的化し、財政再建や地球温暖化対策などの政策課題が積み残しになっていると書いています。場当たり的な政権運営ではなく、「民主主義の時間軸を長くする方策がいる」と提案しています。具体的には、財政再建をチェックする第三者機関の設立や、国会に若い人の声を送りこむ制度や、解散権の制限などを提案しています。

また、毎日新聞も「民主主義の統合機能」の必要性を提言しています。アメリカで国論が大きく二分し、またイギリスやスペイン、ベルギーでは独立問題を抱え、日本でも基地負担に苦しむ沖縄の問題があります。記事は、異論を認め合い、結論を出すという民主主義の統合機能を再認識すべきではないかと書いています。

東京新聞も、「明治150年と民主主義」という社説です。明治の初めも民衆は公平を求め、人民主権を求めた。戦後の憲法は、1948年の世界人権宣言が基底にあり、押しつけという政治家もあるが、国民多数は歓迎した。今の日本の民主主義はどうか。「一強」政治があり、首相は謙虚を言いながら独走を続けている。ヨーロッパには全市民が集まった広場があったが、今の日本では議会がその役割を果たすべきでないか、と書いています。

読売新聞の社説は、前半は北朝鮮問題を取り上げ、後半で、中長期的な課題に取り組む必要性を指摘しています。国民の間には、少子高齢化に伴う将来への不安感が蔓延しており、医療、介護、年金制度と税という国民負担を議論する必要があると書いています。その点は、日本経済新聞も同様で、超高齢化社会を乗り切るために、社会保障と財政の見取り図をきちんと描くことが最重要であると書いています。

事前に意見交換されたわけではないでしょうから、たまたま同じような問題意識になったのだと思います。民主主義を改めて議論しなければならないとは、という思いもします。しかし、ほとんどの国民はきちんとしていて、今、政治家や官僚がしていることより、はるかに誠実だと思います。それからすれば、民主主義の実践はそれほど難しいことではないはずです。これからの人と政治に期待したいと思います。(弁護士 松森 彬)